開発日誌

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[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] 任意のセルフスイッチをONに

2025-01-05 16:58:19

以前公開した「セルフスイッチ操作プラグイン」をv1.2.0にアップデートして、任意のセルフスイッチの消去に加えて、任意のセルフスイッチをONにすることもできるようにしました。

「プラグインコマンド」から利用する関係上、RPGツクールMZ専用となります。RPGツクールMVでは動作しません。

なお、既存の「セルフスイッチの消去」機能の使い方に関しては、過去記事「任意のセルフスイッチを消去」をご覧ください。

また、既存の「セルフスイッチの消去」機能にも、コモンイベントから呼び出すとエラーが起こりうる不具合が存在していたため修正しました。お手数ですがこの機会にアップデートをお願いします。

今回のアップデートで新たに「セルフルイッチのON(Set Self Switches)」のプラグインコマンドが使用できるようになります。

使い方は「セルフスイッチの消去」とほぼ同様で、対象のマップID、イベントIDを数字で、対象のセルフスイッチをA-Dで指定すると、該当のセルフスイッチをONにすることができます。

マップIDに-1を指定すると現在のマップが対象になります。

ただし既存の「セルフスイッチの消去」にあったような、全てのマップや全てのイベント、A-D全てのセルフスイッチに対して一括でONにするような機能はありません。

基本的にセルフスイッチは、ONになったセルフスイッチの情報のみを保持しており(持っていなければOFFと見なす)、保持しているもの全てを消すのは簡単にできますが、逆はマップデータから全てのイベントデータを読み込んでくる必要があって、処理コストが非常に高いためです。

質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にお願いします。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。

[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] 数値入力ウィンドウをさらに強化

2025-01-04 11:38:34

以前作成した「数値入力ウィンドウ強化プラグイン」をv1.1.0にアップデートして、入力桁移動ボタンを設けたり、キャンセルボタンの位置を指定できる機能を追加しました。

RPGツクールMZ専用です。ウィンドウ系は仕様が異なるため、MVでは使えませんのでご注意ください。

なお今回追加された新機能以外の使い方は過去記事「数値入力ウィンドウを強化」をご覧ください。

もともとのプラグインでは以下の3点が可能でした。

  • キャンセルボタンで数値入力をキャンセル
  • 数値入力の前後に文字列を追加
  • 入力可能な数値の最小値・最大値を設定(固定値 or 変数)

今回のアップデートで上記に加えて以下の2点が可能になります。

  • 入力桁の移動ボタンを設置(位置指定可)
  • キャンセルボタンの位置指定

スマホのタッチUIの場合、入力桁の誤タップが発生しやすいため、入力桁の移動ボタンを付けられるようにしたい、というご要望をいただいての実装となります。もちろん左右キーでの桁移動は今まで通り可能です。

また桁移動ボタンの追加に伴ってボタンの数が多くなるため、桁移動ボタンおよびキャンセルボタンの位置を調整できるようにしました。

今回の追加機能は、個別に変更する必要性は感じない(場合によって桁移動ボタンがあったりなかったり、キャンセルボタンの位置が上にあったり下にあったりと変わるのは、UI的に好ましくない)ため、いずれもプラグインパラメータで指定する仕組みにしています。

プラグインパラメータは以下の4種類です。

桁移動ボタン有効
数値入力の際に入力桁の移動ボタンを表示するかどうかを指定します。ONにするとボタンを表示します。デフォルトはOFF(表示しない)です。
1桁の場合は非表示
入力数値が1桁の場合に、桁移動ボタンを非表示にするかどうかを指定します。デフォルトはONで、ONにすると入力数値が1桁だけの場合は桁移動ボタンが表示されません。OFFにすると入力数値が1桁でも桁移動ボタンが表示されますが、当然ボタンを押しても何も反応がないので紛らわしいと思います。
桁移動ボタン位置
桁移動ボタンを表示する際の表示位置を、左下・左上・上部中央の3種類から選びます。デフォルトは左下です。
キャンセルボタン位置
キャンセルボタンを表示する際の表示位置を、右下・右上の2種類から選びます。デフォルトは右下です。

▲デフォルトの桁移動ボタン左下、キャンセルボタン右下配置。少々窮屈……。

▲桁移動ボタン左上、キャンセルボタン右上配置。ウィンドウは上に拡張される。

▲桁移動ボタンを上部中央に配置。ボタンは重ならないように調整される。

▲入力値が1桁だけの場合は桁移動ボタンが非表示になる。

ボタンの位置は任意に指定できると良かったのですが、数値入力ウィンドウは入力桁数によって幅が変わりうるため指定方法が煩雑になってしまうのと、言うてこれら以外の配置にすることもそんなになかろうということで、選択式にしています。

もし用意した以外のボタン配置をしたい場合、プラグインの改造はご自由にどうぞ。変更が大がかりでなく汎用的だと思える要望であれば改修も可能ですので、ご要望をお寄せください。

質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にお願いします。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。

[ サイト情報 ] [ その他の雑記 ] 2024年総括

2024-12-31 13:29:28

いつも以上にあっという間に過ぎた気がする2024年。

早くも大晦日ということで恒例の1年振り返りです。

新作の制作状況

2020年の秋から制作を開始している長編大河RPG『王国の英雄』。

去年の年末総括では「さすがにストーリーの佳境は過ぎたので、来年の夏ぐらいまでには完成することでしょう」などと豪語していましたが、結局まだ完成していません。

でも、ラストダンジョンまで出来上がっていて、ラスボス戦も基本路線は固まっているので、あとは付随する要素を作り終えていくだけの、いわゆる「あとは完成させるだけ」状態なので、さすがに来年の夏ぐらいまでには……。

来年の秋で制作開始から丸5年が経つことになるので、何とかそれまでには完成させたいところです。

〆切がないとどうしてもダラダラやってしまうので、イベント出展なども視野に入れてもいいかもと思い始めています。

制作者仲間との交流

2024年はツクラー仲間との交流もけっこう深まりました。

ツクラー歴だけでいうなら四半世紀あまり。本格的に制作を開始してからも15年以上経ちますが、twitter(現X)を始めたのもちょうど『王国の英雄』制作開始と同じ頃と、最近まであまり積極的に他のツクラーさんと交流をしてきませんでした。

ですが、twitterでよく絡ませていただく方も増え、ツイキャスやYoutubeなどで配信されている方のところにもお邪魔したりと、交流することが増えてきました。

特にtwitterやツイキャス配信で仲良くさせていただいているじどりさんとは、リアルで一度お会いする機会がありました。その時にプレゼントしていただいた『王国の英雄』主人公パーティーの絵は、額に入れて部屋に飾っています。ありがとうございました!

インディーズゲーム関連のイベントも、オンライン・オフライン共に頻繁に開催されているようなので、前項でイベント出展も視野に入れていると述べたように、来年はそのような場所にも顔を出していきたいと思います。その際はよろしくお願いします!

ツクールの新機能にまたしても翻弄

2024年は新年早々、RPGツクールMZ v1.8.0の問題の新機能(メッセージのウェイトを無効化できる)に、またしても翻弄させられました。

新機能が発表されてすぐに問題点を指摘し、対策用のプラグインを公開しました。問題の機能はその後v1.8.1で、ウェイトの無効化のON/OFFを切り替えられるオプションが導入されましたが、初めからそうしとけと……。

v1.8.1へのアップデートに際しても、ツクールの旧ストア閉鎖にともなって、旧ストアでの購入者に対するアップデートが蔑ろにされた(現在は解消済み)ので、珍しく怒りの長文を公式フォーラムに投稿したりしました。

来年早々にもv1.9の発表がほのめかされており、新機能も一部が紹介されていますが、前科がありすぎるので、蓋を開けるまで手放しで喜んで良いものかどうか分からないのが困りものです。

ツクールの公式も、発売から5年も経つソフトウェアに、いまだに新機能を追加してくれるのはとてもありがたいのですが、せっかく公式フォーラムがあるのだから、事前にもっと意見を聞いたりすればいいのにな、と思ってしまいます。

プラグイン制作

前述のv1.8.0の尻拭いプラグイン以外にも、いくつかプラグインを公開しました。

中でも「乗り物の乗降時等にイベントを実行」と「ダミーイベントと重なる位置でも飛行船を下りられるようにする」の2つは、飛行船に関わる動作を改善するためのプラグインです。

飛行船と言えばゲーム最終盤に登場する乗り物であり、新作の制作が最終盤まで到達している証拠です!

戦闘アニメの位置を敵ごとにずらす」と「敵が全員逃げた時の戦闘終了時メッセージを変える」の2つは、要請を受けて作成したプラグインです。後者の敵が全員逃げた時のメッセージは、自分でも気になっていた部分だったので、要望があったのに乗じて作成しました。

ピンチ状態の文字色を2段階化&敵キャラ名の色を変える」は、ドラクエ3のHD-2Dリメイクを遊んだ中で、この仕様は採り入れてもいいのではと思って作成したプラグインです。

他にも、以前公開した「数値入力ウィンドウ強化プラグイン」に、桁移動のボタン追加とキャンセルボタンの位置調整機能を計画しています。こちらは機能的にはほぼできているので、年明け早々にも公開できると思います。

その他の活動

今年も12月に恒例の「ツクールアドベントカレンダー Advent Calendar 2024」が開催され、「雑魚戦に陽を当てよう」の記事を投稿しました。

一般的に苦手な制作者が多いと言われるマップ、モブキャラ、雑魚敵の三大要素。むしろ自分はこれらの三要素こそ大好きなので、時々語ってきました。

特に近年では雑魚戦はスキップできて然るべきものみたいな扱いを受けることもしばしばですが、そんなはずはないと信じています。

凝った戦闘システムや美麗なグラフィックに注目が集まりがちですが、モブキャラの会話や雑魚戦といった要素を蔑ろにしては、凝った戦闘システムも美麗なグラフィックも十分に活かせないと思っています。

これからもこうした要素の解説は、折を見てやっていきたいですね。

2025年の抱負

来年の抱負は、何と言ってもまず新作『王国の英雄』を完成させること。

自作品である『小さな大冒険』と『天下御免!からくり屋敷』はいずれもRPGツクールVX製で、今となってはさすがに古くて手軽にはプレイを勧められません。『夫婦戦争MZ』はRPGツクールMZ製ですが、ミニゲームであるため、自作品の顔としては少々弱い気がしています。

長編大河RPGと銘打った本格的なRPG作品となる『王国の英雄』を完成させれば、ようやく大手を振って勧められる自作品ができます。

2025年は『王国の英雄』完成を第一目標に頑張っていきたいと思います。

また、自作品の制作中はそれに集中してしまって、あまり他の作品をプレイする余裕がありませんでした。

やはり他の人の作品を多くプレイして、参考になる部分を吸収していかないと、独りよがりに陥ってしまうおそれもあります。来年前半に自作品を完成させて、後半はいろいろな作品をプレイしていきたいと計画しています。

本年はどうもありがとうございました。

また来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

[ その他の雑記 ] 雑魚戦に陽を当てよう

2024-12-10 00:00:27

本記事は「ツクールアドベントカレンダー Advent Calendar 2024」12月10日分の投稿記事です。

ところで皆さん、RPGの雑魚戦は好きですか?

私は好きです。

でも残念ながら、好きという人は少ないかもしれません。

今回はそんな雑魚戦について考察してみました。

雑魚戦とは

RPGにおける雑魚戦とは、ボス戦の対極にある戦闘のことです。

何度も繰り返され、通常はそこまで苦戦することもなく、長くとも数ターンで勝利できます。

大して苦戦もせずに勝利できて、しかもそれが何度も繰り返されることから、単なる作業になっている感覚が強く、雑魚戦が面倒だという声はよく聞かれます。

実際、最近のRPGではシンボルエンカウントが主流になり、雑魚戦を避けることが容易になりました。

さらに味方の戦力が明らかに勝っている場合は戦闘シーンを省略できたり、エンカウントキャンセルのような仕組みが採用されたりと、極力雑魚戦をしなくて済むようになっています。

しかし、戦闘は本来RPGの一番メインの要素と言っても過言ではありません。

実際に、あの手この手で雑魚戦を回避できるようにしておきながら、雑魚戦自体を無くしている作品はあまりありません。

忌避されつつも、雑魚戦自体はRPGに不可欠な存在と見なされているのです。

そんな忌避されがちな雑魚戦を少しでも面白いものにするために、自分が行っている工夫を述べてみました。

雑魚戦の役割

そもそもRPGにおいて、雑魚戦の役割とは何でしょうか。

いろいろあると思いますが、だいたい以下のような感じでしょうか。

経験値・お金稼ぎの手段

雑魚戦の役割として真っ先にイメージされるのはこれでしょう。

RPGの重要な要素として、キャラクターの成長・強化があります。

経験値を稼いでレベルを上げたり、お金を稼いで装備を購入したりして、ある程度強くなっていなければボス戦を突破できません。その稼ぐ手段としての雑魚戦は、必要不可欠なものです。

古い作品では「経験値稼ぎ」と揶揄されたように、1レベルアップするのに大量の雑魚戦が必要とされ、これが雑魚戦の面倒さや作業感に拍車を掛けていました。

しかしだからと言って、雑魚戦での経験値やお金稼ぎが不要となると、今度は雑魚戦が本当にメリットのない邪魔にしかならず、かえって面倒な作業になってしまいます。

ドロップ品集め

経験値とお金が代表的な戦闘の報酬ですが、それ以外の報酬として敵のドロップアイテムもあります。

アイテム合成のある作品だと合成素材が雑魚敵からのドロップ品だったり、あるいは強力な武器や防具をレアドロップとして落とすこともよくあります。

種などの強化アイテムを落とす雑魚敵を狩りまくるのも、これに当たります。

ドラクエ5のように倒したモンスターを仲間にするというのも、広義のドロップ品集めに相当するでしょう。

ただ、素材やレアドロップを狙って特定の雑魚敵を狩りまくるというのは単純作業以外の何者でもなく、エンドコンテンツでのやりこみ要素ならともかく、ゲーム序盤からそのような要素があると、プレイのテンポを悪くしてしまいます。

パーティーを消耗させる

雑魚戦のもう一つの主要な役割として、パーティーを消耗させることが挙げられます。

ダンジョンの奥でボスと戦うまでに、MPや回復アイテムといった限りあるリソースを削っておくのです。

プレイヤーとしてはボス戦に備えてなるべくMPを温存しておきたいが、通常攻撃だけだと倒すのに時間がかかりHP回復にかえってMPを消費してしまう……、という風にリソース配分を考える必要がありますし、消費を抑えるためなるべく効率の良い倒し方を工夫しなくてはなりません。

これが、ボス戦の前に全回復ポイントがあったり、MPの回復手段が潤沢だったりすると、リソース削りとしての雑魚戦の役割はなくなります。何も考えずただ強力な技をぶっ放していれば済むので、雑魚戦が退屈で面倒な作業になってしまいます。

ボス戦の練習台

例えばダンジョンに3種類の雑魚敵が出てきて、それぞれ毒を使ってくる敵、暗闇にしてくる敵、麻痺させてくる敵がいたとします。そしてそのダンジョンのボスには、これら3つの攻撃手段全てを使わせます。

こうすることでプレイヤーはあらかじめ、毒や暗闇、麻痺でどのくらい困るかやその対処法を予習することができ、いざボス戦になった時も慌てずに対処できるようになります。

また、単純に攻撃や回復でないスキルは、その効能がプレイヤーに伝わりづらいです。雑魚敵にそのようなスキルを使わせることで、どういう効果を持つスキルなのかを分からせることができます。

他にも「試し斬り」の役目もあります。

新しく覚えたスキルを、その威力や効果がちゃんと分かっていない状態で、いきなりボス戦で使うのは勇気がいります。予想よりも威力が弱かったり、思わぬ副作用があったりして、一気に窮地に陥ってしまうかもしれません。あらかじめ雑魚戦で使ってみて効果のほどを確かめる、というのは大切なことです。

世界観の醸成

例えば森のダンジョンでは猛獣や虫系のモンスターが、雪国では氷系の攻撃を得意とするモンスターがよく出現します。

単にマップが森や雪国であるだけに比べて、いかにも森や雪国を冒険している感が演出できるでしょう。

洞窟を抜けて新しいエリアに到達したら今までよりも一段階強い敵が登場したり、ラストダンジョンでボス敵並みに強い雑魚敵が襲ってきたりというのも、広い意味ではこれに当たります。

作品全体としては、ダークな作品はモンスターもおどろおどろしいものになりますし、メルヘンチックな作品はモンスターの絵柄もカワイイものが使われがちです。和風な作品であれば登場するモンスターも日本の妖怪や獣がモチーフになります。

敵キャラのグラフィックは歩行キャラクターやマップのオブジェクトなどと比べると大きくて視覚的にインパクトがあり、中でも雑魚敵は何度も繰り返されることから目に触れる機会も多く、作品全体やそのエリアの雰囲気作りに役立っています。

自分の工夫

以上が自分の考える雑魚敵・雑魚戦の役割です。

私の過去作『小さな大冒険』『天下御免!からくり屋敷』、および現在制作中の『王国の英雄』は、いずれも雑魚戦を重視しており、これらの役割を活かすために不十分ながらも様々な工夫を施しています。

経験値・お金の量

雑魚敵を全て逃げずに倒し、道中の宝箱を全て回収して進むくらいで、ちょうど良いレベルになるように、エンカウント率と経験値・お金の量を調整しています。

すなわち、ただ経験値稼ぎを強いられることもなく、逆に雑魚戦を避けまくっているとボス戦で苦戦するようなバランスを目指しています。

この調整は過去記事「必要経験値をExcelで計算」で紹介したExcelファイルを活用しています。

だいたいどのぐらいの戦闘回数でレベルアップさせるかをベースに、ダンジョンの広さとエンカウント回数、敵キャラの経験値を設定しています。

ただ後半になるほどプレイヤーの腕や進め方による差も拡大するため、中盤くらいまで気を付ければ十分かなとも思います。

『小さな大冒険』の頃はこの辺の調整が甘くて、何度かエンカウント率や獲得経験値の修正を余儀なくされた上、最終的には調整しきれておらず、雑魚戦には課題が残っています。

不可視シンボルエンカウント

過去記事「不可視シンボルエンカウント」「不可視シンボルエンカウント・再」で紹介したように、『天下御免!からくり屋敷』や現在制作中の『王国の英雄』では、シンボルエンカウントではあるものの敵シンボルが普段は見えないという、不可視シンボルエンカウントを採用しています。

シンボルエンカウントの場合は極力エンカウントを避けるのでレベルが上がらず、ランダムエンカウントの場合は迷ったりじっくり探索したりするとレベルが上がりすぎてしまう、という問題があります。

不可視シンボルエンカウントであれば両者のいいとこ取りができ、パーティーのレベルを適正な範囲内に収めやすくなります。

『天下御免!からくり屋敷』では一定時間経つとシンボルが復活するようにしていましたが、『王国の英雄』では一度倒したシンボルはマップを切り替えるまで復活しないようにしたので、同一マップ内ならいくら迷ってもエンカウント回数が増大することはなく、レベルが上がりすぎる事態を避けることができます。

行動パターンで敵に個性を

雑魚敵が様々な攻撃を仕掛けてくるようにして、個性を持たせています。

自分の場合、割と味方専用のスキルになりがちな「かばう」やカウンター攻撃なども積極的に雑魚敵に使わせて、「このスキルはこう使うと強い」というのをプレイヤーに示しています。

注意点としては、あまり1つの敵に行動パターンを多く設定しても、1~2ターンで戦闘が終わるなら、使ってくる行動は数が限られます。

その敵ならではの行動1~2パターンに留めておく方が、特徴が際立つでしょう。

敵グループを豊富に

同じ雑魚敵でも、その数や組み合わせによって戦い方は変わってきます。

自分は敵グループをけっこうたくさん用意します。

1つのエリアに3種類の敵が登場し、全部で1~3体まで同時に出現するとなると、その組み合わせは19通りになります。

これに加えて4体以上出現するパターンもいくつか設定して、自分は1つのエリアに20~30くらいの敵グループを作ることが多いです。

敵グループの構成が同じだと戦い方も同じになるので作業感が増してしまいます。

様々な組み合わせの敵グループを用意して、どの技で倒すのが一番効率が良いか、誰から倒せば被害を最小限に抑えられるかなどを常に考えて戦うようにすれば、雑魚戦にも緊張感が生まれると思います。

雑魚敵の耐久力

プレイヤー側が常に先行して一撃で倒せてしまうと、いくら雑魚敵に個性や特徴を設けても、それを披露する機会がありません。

自分はHPと敏捷性を調整して、魔法使いが先行して全体スキルを放つが微妙に討ち漏らす→雑魚敵が行動する→敏捷性の遅い戦士が通常攻撃で倒しきる、というような流れを意図することが多いです。

こうすることで、雑魚敵が攻撃してくる隙を作りつつも、戦闘自体は1ターンで終われるようにしています。

キャラクターの成長具合にも左右されるので、なかなかピッタリに調整するのは難しいですが、なるべく一発では倒せないようにしています。

町の人に雑魚モンスターを語らせる

過去記事「モブ会話の作り方」でも触れたように、町のモブキャラの会話で周辺に登場する雑魚モンスターの特徴などを喋らせています。

初めて登場する状態異常を使ってくる敵や、不意に強力な攻撃を仕掛けてくる敵など、あらかじめ情報があれば対処も可能ですし、理不尽感もなくなります。

この周辺にはこのようなモンスターがいる、という世界観の提示にも繋がります。

あまり町の一般人が魔物に詳しいと違和感があるので、自分の場合は宿屋に併設された酒場のような施設を作り、そこに冒険者たちを配置して、雑魚敵について語らせるようにしています。

モブキャラの会話は考えるのが苦手という方も多いですが、雑魚敵の特徴を喋らせるだけで数人分の会話が作れるのも良い点です。

これはあまりやっている人がいないので、心からお勧めしたいです。

まとめ

アドベントカレンダーの勢いを借りて、雑魚戦についていろいろ語ってみました。

いずれも全て、個人の見解ですと断っておきます。

雑魚戦ごときにいちいち頭を悩ませたくない、最強スキルで一掃できれば十分だ、という意見の方もいらっしゃるでしょう。

ただそれであれば、いっそ雑魚敵など無くしてしまって、ボス戦だけで十分な経験値が得られるようにすればいいのでは、とも考えます。

このゲームの中で雑魚敵・雑魚戦とはどのような役割を持つのか、ということを意識せず、ただ何となくRPGだから雑魚戦があるというだけで作られた雑魚戦は、退屈なものになりがちです。

ぜひその辺をしっかりと意識して、雑魚戦を設計してもらいたいと思います。

それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] ピンチ状態の文字色を2段階化&敵キャラ名の色を変える

2024-11-25 22:02:13

アクターがピンチになった時の文字色の変化を2段階に分けるプラグインと、残りHPが減ってピンチになった敵キャラの名前の文字色を変えるプラグインを、それぞれ公開しました。

文字色の指定の仕様がMVとMZで異なるため、両プラグインはRPGツクールMZのみの対応です。

少しの修正でMV対応版を作成することはできますが、テストや管理が煩わしいのでMZ版のみ公開します。改造はご自由にどうぞ。

2つのプラグインを併用すれば敵キャラ名の文字色も2段階にすることができますし、どちらか片方だけでいい場合は片方だけ導入することも可能です。

ピンチ状態の文字色を2段階に分ける

標準のRPGツクールでは、残りのHPが最大HPの25%を下回るとアクター名等の文字色が黄色になって、そのキャラクターがピンチであることが視覚的に分かるようになっています。

この仕組みは初代ドラクエから存在しており、RPGではごく当たり前のシステムです。

最近の作品ではこれをさらに拡張して、より体力が減って危険な状態の時はオレンジや赤など、より緊急性の高い色で警告されるようになっています。

これは非常に分かりやすい仕組みなので、自作品にも採用すべく、プラグインを作成しました。

このプラグインを導入すると、ピンチ状態が1段階目の危機(Crisis)と2段階目の瀕死(Fatal)とに分けることが可能です。

ピンチ状態の各段階の残りHPの割合と、その時の文字色は、プラグインパラメータで指定します。

デフォルトでは、1段階目の危機は残りHPが最大HPの25%未満で黄色、2段階目の瀕死は10%未満で朱色としていますが、%や色は任意のものが指定可能です。

また応用的な使い方としては、ツクール標準ではHPが25%未満で黄色固定なところ、このプラグインを使えば%と色を変更できます。1段階目と2段階目の%と色を同じにすれば、2段階に分けることなく、HPの割合と色を変更が可能です。

敵キャラ名の文字色にピンチ状態を反映する

標準のRPGツクールでは、敵キャラの残りHPを直接知る手段はありません。

個人的には敵キャラのパラメータが開示されるのはあまり好きではなく、何回か戦っている中で相手のだいたいのHPを推測し、効率の良いダメージの与え方を考えて実践する、というのがRPGの戦闘の楽しさの一つであると考えます。

ただ、雑魚敵ならばそれでいいのですが、ボス敵の場合は基本1回しか戦いませんし、ほんの数ターンで倒せるということもないため、相手の体力がまだ全然削れていないのか、それともあと少しで倒せるのかは分かりません。

リアルで考えると、相手の負傷具合や息の上がり方などから、まだ余裕があるのか、それともかなり体力を消耗しているのかを読み取ることは可能で、その代替表現として、敵の瀕死度に応じて文字色を変える程度の仕組みは、用意してもいいのではと思いました。

このプラグインを導入すると、敵キャラの選択ウィンドウにおいて、味方と同様にピンチ状態の相手は敵キャラ名の色が変わります。

前述のプラグインと併用すれば、敵キャラ名もピンチ度のレベルに応じて、2段階の色で表示することが可能です。

戦闘システムは様々なプラグインでカスタマイズされているケースも多いので、正常に動作しない場合もあるかと思います。最低限の作りにしたので、競合でエラーが起こることはそれほどないと思いますが、色の変化が反映されないといった現象は起こり得ます。改造等はご自由にどうぞ。

質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にお願いします。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。