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[ テクニック ] モブ会話の作り方

2021-12-02 00:01:24

本記事は「ツクールフォーラムアドベントカレンダー Advent Calendar 2021」12月2日分の投稿記事です。

モブ会話とは?

「モブ(mob)」とは「群衆」といった意味で、RPGにおける「モブキャラクター」といえば、ストーリーに関わるメインキャラクターではない、町の人とかお城の兵士など一般のキャラを指します。

町の入口で「ここは○○の町です」と言ってくる女性や、井戸の周りを走り回る子供たち、今日の晩ご飯は何にしようか悩む主婦などが代表格でしょう。

彼らはメインキャラではないので、特に重要なことは喋りません。しかし、プレイヤーが話しかける以上、何かしら台詞を喋らせないといけません。

この台詞を「モブ会話」とか「モブ台詞」とか言いますが、このモブ会話を考えるのがけっこう苦手と言う人が多い印象です。

ただ私は、モブ会話を考えるのがむしろ楽しいし、割と得意だと思っているので、モブ会話の作り方について解説してみようと思います。

モブキャラに何を喋らせる?

そもそもモブキャラクターに何を喋らせればいいのでしょう。

最近のRPGでは、ストーリーの進行に関する情報はメインキャラたちの会話イベントで勝手に語られるため、モブキャラはあまり有益なことを話してくれない傾向にあります。

有益なことを話さないのでプレイヤーがモブキャラに話しかけることも少なくなり、話しかけるプレイヤーが少ないのでますますモブキャラに重要なことを喋らせないようになり……という負のスパイラル。

たわいない日常会話が悪いとは言いませんが、そんな台詞ばかりではモブキャラに話しかけるモチベーションも湧きませんし、何よりそんな台詞ばかり用意するのも大変です。

ストーリーのヒントや情報はメインキャラが全部話しちゃってるから、今さらモブキャラに喋らせる情報なんてありません、と言われるかもしれませんが、ヒントや情報はいくらでも考えられます。

ヒントや情報の種類

では、どんなヒントや情報が考えられるのか、具体的に見ていきましょう。

この町の情報について

まずは定番中の定番。

町の入口付近にいて「ここは○○の町です」と教えてくれる人。

これだって、この町が何という町なのかが分かる立派な情報です。

自分の作品では町に入った瞬間に町の名前が出るんで、そんな台詞いりません、という場合は、その町の特徴を一言添えてみるのはどうでしょう。

この町がどんな町なのか、一発で特徴を理解できるので、町の印象も深まります。

この台詞を言うキャラは、町の入口すぐの位置に配置するのが鉄則です。

ここは にぎわいの町。

家々が軒を連ね 世界中から人々が集まる

活気あふれる町ですわ。

ここは 山裾の村だ。

何にもない 村だけど

まあ ゆっくりしてって くれや。

ここは 砂塵の町。

砂漠の ど真ん中にある 町だ。

この町の詳細情報

上述のこの町の名前や一言特徴に続き、町に入って二番目くらいに遭遇するモブキャラに、もう少し詳しい町の情報を喋らせてみてはどうでしょう。

特に、異民族の村とか独自性の強い町の場合、その生活様式とか歴史とかを掘り下げた台詞があると、より印象が深まるのではないでしょうか。

こういった情報は攻略には直接関係ありませんが、かといって全く意味のない無駄な会話というわけでもなく、町の雰囲気作りに役立ちます。

かつて 草原を 転々としていた頃は

よく 野生動物に 襲われたものじゃったが

村に 定住してからは そんな危険も なくなった。

この町からは 東の大陸への 交易船が 出ているわ。

だから この大陸では あまり 見かけない

珍しいものが たくさん 入ってくるわね。

イベントに関わる人物・施設について

イベントが起こるキャラや場所があれば、それが町のどこにいる or あるのか、ヒントを出してあげると親切でしょう。

ストーリーに関わる重要人物であれば、その人についての性格や特徴などをモブキャラに喋らせておけば、いったいどんな人物なんだろう?という興味が湧きますし、実際に会った時の印象もより深くなります。

この町の 町長様は

いにしえの賢者 シルバー様の 末裔なんですって。

この先の 大きな お屋敷に お住まいよ。

え? ケージ爺さんだって?

ああ ケージ爺さんの 家なら

村はずれの 高台にある 一軒家だよ。

近くのダンジョンや次の町の情報

この町を拠点に攻略するダンジョンや、次に訪れる町の情報も重要です。

ダンジョンや次の町がどの方角にあるか、何か途中の目印はあるか、どんな特徴があるか、何か注意すべき点はあるかなど、プレイヤーに伝えるべき情報はたくさんあるはずです。

そして、これらの情報を一人の人に喋らせるのではなく、複数の人に分散して語らせるのがコツです。

一人の人だけに喋らせると台詞が長くなってしまいますし、聞き漏らしたら重大な情報ロスになります。その点、複数の人に分散して喋らせれば、一人あたりの台詞は短くて済みますし、一人ぐらい聞き逃しても大丈夫です。

下記の例では、次の目的地である賢者の墓というダンジョンの、(1)場所、(2)特徴、(3)注意点を、それぞれ3人のモブキャラに喋らせています。

この町の 北の 川と山脈を 越えた先に

いにしえの賢者 シルバーを 葬った

賢者の墓と 呼ばれる ほこらが あるそうだ。

賢者の墓の 入口は 封印されているそうよ。

いにしえの賢者 シルバーの 血を引く者にしか

その封印は 解けないんですって。

噂によると 賢者の墓の 内部は

侵入者を 防ぐため

あちこちに 落とし穴が 作られてるらしいぜ。

ここまではストーリーに直接関わってくるヒント・情報なので、比較的考えやすいかと思います。

ただこれだけでモブ会話が全て埋まるわけではありません。

他にどんな情報が考えられるでしょうか。

この町で手に入る装備品やアイテムの特徴

新しい町を訪れた時の楽しみの一つが、新しい装備品やアイテムの物色。

しかし、お店に入ってズラッと並んだ商品リストを前に、いったいどれを買えばいいんだ……と途方に暮れることがよくあります。

特に後半になるにつれ、単純な能力値だけでなく、様々な特殊効果や耐性を持った装備品も多数登場します。

もちろんアイテムの説明欄に特徴などは書いてあることが多いですが、その効能がよく理解できなかったり、見落としてしまったりということはあり得ます。

装備品の特徴などをモブキャラに詳しく説明させれば、有用性などもよく理解できるのではないでしょうか。オススメの装備品などを語らせれば、装備選びの参考になるでしょう。

仕留めた 獲物は あたいが 出刃庖丁で 掻っ捌く。

出刃庖丁は 普通のナイフと 違って 斬る武器だけど

この辺の 魔物なら 斬るだけで 威力は 十分だわ。

覚醒のオルゴールというものを 使えば

眠らされた 仲間を 起こせるらしいですな。

何回か 使うと 壊れてしまうそうですがね。

覚えるスキルの説明

市販のゲームであれば攻略本や攻略サイトが充実していて、どのレベルでどんなスキルを覚えて、どんな効果なのか、というのを事前に知ることができます。

しかしフリーゲームではそういう情報は基本的に分かりません。次のレベルでどんなスキルを覚えるのかはもちろん、そもそもこのゲームにどんなスキルが出てくるのかすら、プレイヤーは分からないのです。

そんな時、この町に到達する推奨レベル前後で覚えられるスキルの説明をしてくれるモブキャラがいれば、そろそろこういうスキルが覚えられるんだな、ということが分かるので安心感に繋がります。

また、スキルの説明欄だけではその効果が分かりにくかったりもします。

どういうシーンで有効なのかなどをモブキャラに説明させれば、使ってみようという気にもなりますし、デメリットがあるならそれを説明させておけば、注意して使おうという気になります。

たくさんの 魔物に 取り囲まれても

ファイアブレスの 魔法さえ 使えれば

一掃できるから 怖くないわ。

とは言っても MPを かなり 消費するから

そんなに バンバンは 使えないわね。

斧のスキルで 覚えられる 一刀両断の 技は

敵の防御力を 無視して ダメージを 与えられるぞ。

装甲が固い敵には 打って付けだな。

付近に出現する敵の特徴

あとは、町の近くやダンジョンで出現する雑魚敵の情報を喋らせるのも手です。

特に、強力な技を放ってくる敵や嫌らしい行動をする敵については、その危険性や弱点があらかじめ分かっていれば対処のしようがあります。

これが分からないと初見殺しとか理不尽な印象を与えてしまいますので、少し雑魚戦をホネのあるものにしたいと思っている場合には極めて有効です。

ヒグマは すさまじい攻撃力が 脅威ですな。

しかも 時々 痛恨の一撃を 繰り出してくるので

体力は 常に 気を配られた方が よろしいかと。

ベビーデーモンって 奴を 甘く見るなよ。

時々 ファイアブレスの 魔法を 唱えてくる 強敵だ。

複数 現れた時は まず 数を減らした方が いいぜ。

軍隊ガニって 奴は ハサミは鋭いし 甲羅は固いし

おまけに どんどん 仲間を 呼びやがる。

弱点は 槍か ナイフで 一突きして やることだな。

属性や状態異常の情報

最近の作品では、属性や状態異常について、序盤の町の本棚で解説されるようになっていたり、「戦闘指南書」みたいなアイテムを作っていつでも読めるようになっていることが多いようです。

しかし、そんな序盤から属性や状態異常がたくさん登場するとも思えませんし、そんなにたくさんの情報を一度に覚えきれないでしょう。

属性を考えることが重要な敵や、その状態異常を使ってくる敵が登場するあたりで、モブキャラにその情報を喋らせれば十分ではないでしょうか。

炎は氷に弱くて 氷は炎に弱い。これ 常識。

つまり 炎を操る魔物には 氷の魔法が 有効で

氷を操る魔物には 炎の魔法が 有効ってことね。

星見の山には マヒ毒を持つ 魔物が 出るらしい。

麻痺させられると しばらくの間 体がしびれて

身動きが とれなくなっちまうから 気を付けろよ。

能力値の説明

さすがに攻撃力や防御力の説明まではいらないと思いますが、敏捷性や運などは作品によって違う使い方がされている場合もあります。

説明書などで説明しているかもしれませんが、説明書などはあまり読まれないかもしれません。

モブキャラに説明させれば、どういうシーンでその能力値を重視すべきかなど、もう少しプレイヤー目線での解説ができるのではないかと思います。

運が強いと 毒や眠りなどの 状態異常に

かかりにくく なるんだって。

まあ 絶対じゃ ないらしいけどね。

敏捷性が 高い者ほど 先に 行動できるぞ。

敵よりも 素早く 動ければ

余計な ダメージを 食らわずに 済むってことだな。

TPは 戦闘開始時に 50までの間で 割り振られるわ。

ダメージを 受けたり 与えたりすると 増えていって

強力な 特殊技が 打てるようになるのよ。

ゲームシステムの説明

その他、ゲームシステムに関する説明も、説明書だとかチュートリアルなどで無味乾燥に説明されるよりは、モブキャラの台詞として説明された方が、ずっと理解しやすいでしょう。

作品独自のシステムはもちろんですが、「装備」メニューといったRPGに共通の基本的なシステムも、説明しておくに越したことはありません。

フリーゲームを遊ぶ層でそんなことも知らない人はいないのではと思うかもしれませんが、実況プレイなんかを見ているとけっこう分かっていない人はいます。

少しメタな台詞になってしまうかもしれませんが、メタ発言を避けようとして分かりにくい表現になっては本末転倒なので、そこは割り切った方がいいと思います。

武器や防具は ただ 所持しているだけでは

何の役にも 立ちません。

必ず 装備をなさってください。

からくり屋敷の中には 魔物が 住んでおっての。

普段は 姿が見えぬのじゃが

接触すると その姿を現すそうじゃ。

たんすや戸棚 ツボやタルを 見つけたら

中を 調べてごらんよ。

たまに ちょっとしたものが 手に入るかもね。

モブ会話作成のコツ

以上、見てきたように、モブキャラに喋らせる情報はいくらでもあります。

特に装備品やスキル、敵キャラの情報などは、あまり取り入れている作品は少ないように思いますが、数が多いのでモブ会話の量産に役立ちます。

私の場合、新しい町を作る際に、まずその町で得られる情報をざっと箇条書きにします。内容は上記で見てきたような、町の情報、イベントに関わる情報、装備品やスキル、敵の情報などです。

次にそれらを、どんなキャラ(性別・年代・職業など)に喋らせるかを意識しながら、台詞に起こしていきます。

▲この町で得られる情報を箇条書き

▲箇条書きした情報を台詞に起こす

情報は小分けに

あと意識した方がいいのは、1人の会話はなるべく1画面、多くても3画面に収めることです。

会話が長くなる場合は、得てして情報量が多いものです。1回の会話で得られる情報量が多いと理解しづらくなります。「近くのダンジョンや次の町の情報」で解説したように、情報を小分けにして複数のキャラに情報を分散できないか、検討してみましょう。

例えば、東の○○洞窟に××という盗賊がいて、そいつが町の大事な△△というアイテムを盗んでいったという情報であれば、

  • 東に○○洞窟がある
  • ○○洞窟に××という盗賊がいる
  • ××が町の大事な△△というアイテムを盗んだ

という情報に分けて3人の人に喋らせます。

プレイヤーはこれら3人の情報を組み合わせて、「東の○○洞窟で盗賊の××を倒して△△を奪い返せばよい」ということが分かります。

たとえ簡単でもプレイヤー自身に「考える」という作業が生まれることで、能動的にプレイしている感が得られます。単に言われた通りに洞窟に行ってボスを倒すよりも、ずっと達成感が得られるでしょう。

日常会話と見せかけてヒント

「今日の晩ご飯は何にしようかしら」的な完全な日常会話が絶対悪とは言いませんが、なるべくなら避けたいです。

特に、システムの説明など基本的な情報が多数発生する序盤の町から、有益でない日常会話のモブキャラが登場すると、「このゲームは町の人に話しかけても無駄なんだ」というイメージを持たれてしまいます。

ベストなのは、たわいない日常会話と見せかけて、実は重要なヒントになっているという台詞です。

右は飼い猫を探す女の子の会話ですが、別にこのネコを探すイベントが発生するとか、見つけると何かアイテムをくれるというわけではありません。

ですが、このネコの居場所が実はダンジョンに向かうルートの重要なヒントになっています。

あまりヒント然とした会話ばかりでも、ヒントを聞かされているような感じになって、それはそれでプレイを強制されている感が出てしまいます。

こういうさりげない会話でヒントが得られるのが理想ですね。

おわりに

モブ会話が苦手という人は、そもそもモブキャラに何を喋らせればいいのか分からないという人が多いのではないかと思います。

この記事を参考に、モブキャラにも有益なことを喋らせて、ただのモブキャラも作品を彩るキャラクターの一人として、命を吹き込んであげてください。

それでは読んでいただきありがとうございました。

[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] タイマーの不具合修正

2021-09-11 10:34:13

※ 2021-12-10追記:
RPGツクールMZのVersion 1.4で、タイマーの挙動が修正されました。が、条件分岐のタイマー判定が正しくなっただけで、残り秒数の画面表示や変数取得の場合はこれまで通り小数点以下が切り捨てられる仕様のようです。これらの挙動も修正したい方、およびRPGツクールMVをご利用の方は引き続き本プラグインをご利用ください。

RPGツクールのタイマー機能には、想定より1秒早く終了判定されうるという不具合があります。

RPGツクールMV/MZにて、その不具合を修正するプラグインを作成しました。

RPGツクールシリーズにはタイマー機能があります。

昔のシリーズから存在する機能で、秒数を指定してのタイマーの始動と停止、タイマーの残り秒数による条件分岐、およびタイマーの残り秒数を変数に取得・操作することができます。また、タイマーの稼働中は画面内に残り秒数が表示されます。

この機能を使うと、1分以内に脱出!とか、30秒後に爆発する爆弾!とか、リアルの時間経過に依存するイベントを作成することができます。ミニゲームや時限イベントで活躍する機能です。

先日、星潟さんより、一部のツクールシリーズではこのタイマー機能に小数点以下の計算が行われない不具合がある旨、報告がありました。

こちらで調べたところMZでも同様の不具合があったので、修正プラグインを作成しました。

なお、VX Ace用の修正スクリプトは上記、星潟さんのサイトにあるので、そちらをご利用ください。

不具合の内容と原因

例えば右のように、タイマーを3秒で開始して、タイマーが0秒以下になるまでループさせるイベントを組んだ場合、実際には3秒ではなく2秒でループが終わってしまいます。

タイマーを1秒にすると一瞬で終わるので、より顕著に不具合が分かります。

不具合の原因は、条件分岐でタイマーの残り秒数の判定をする際に、小数点以下の秒数が切り捨てられている点です。

タイマーは内部ではフレーム数(1フレームは1/60秒)で管理されており、1フレーム経過するごとに残りフレーム数が1ずつカウントダウンされます。

そして残り秒数の判定や表示の際には、残りフレーム数を60で割って残り秒数として使用される仕組みになっているのですが、この時に小数点以下の秒数が「切り捨て」られるようになっています。

この時どうなるかというと、残り1秒から1フレーム経過して残り0.983秒(59/60秒)となった段階で、小数点以下が切り捨てられて0秒として判定されてしまいます。実際にはまだ0.983秒残っているにもかかわらず、1秒をわずかでも切った時点で0秒と判定されてしまうのです。

条件判定が「以上」の場合は正しく判定されますが、「以下」の場合は約1秒早く判定されてしまいます。たいていは「0秒以下」の条件で終了判定する使い方だと思うので、不具合の影響を受けることになります。

たった1秒ではありますが、たいていタイマー機能は制限時間内に何かせよ、というイベントやミニゲームで使用されるので、1秒といえどもかなり重要な意味を持つのではないでしょうか。

修正内容

このプラグインを導入すると、条件分岐のタイマー判定が小数点以下まで含めて正しく判定されます。

具体的には条件分岐のタイマー判定においては、小数点以下込みの数値で判定されます。例えば条件を「3秒以下」とした場合、正しく3.00秒になった瞬間に条件に合致します。従来は3.99秒になった瞬間に条件に合致してしまいました。

また、画面内に表示される残り秒数は、小数点以下を「切り上げ」て表示するように修正しています。従来は残り秒数が1秒を切って0.99秒になると、画面内の表示は0:00となっていましたが、上記不具合が修正されたことにより、このままだと画面上は0:00と表示されながらも、実際にはまだあと1秒弱の猶予があります。これだと紛らわしいため、表示が0:00になった瞬間にタイムアップとなるよう、小数点以下の秒数を「切り上げ」としています。

それから「変数の操作」にも、タイマーの残り秒数を代入・操作する機能があります。これは画面上に表示されている残り秒数と同じ秒数が取得できた方がよいと思うので、同じく「切り上げ」としています。

なお、既に修正前の状態で秒数の調整をされている場合は、本プラグインを導入して修正することによって、逆に想定よりも1秒長くなってしまうことになるため、タイマーを使用しているゲームに後から導入する場合は、ご注意ください。

質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にお願いします。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。

[ テクニック ] [ 素材 ] [ プラグイン/スクリプト ] 複数回行動時の速度補正変更

2021-08-19 22:24:23

RPGツクールではスキルやアイテムに「速度補正」を設定でき、通常よりも先行して放てる技や、逆に発動に時間のかかる必殺技などを実現することができます。

代表的なのは「防御」や「かばう」のスキルです。これらの速度補正を1000や2000といった高い値にすることで、敵の攻撃よりも先に防御や身代わりの体勢をとることができるようになります。

しかし、RPGツクールのデフォルト機能では、1ターンに2回以上の行動をする場合、それぞれの行動の速度補正のうち最小値が採用されるようになっています。そのため、速度補正の高い「防御」や「かばう」と、速度補正が0の通常の行動とを同時に行うと、速度補正としては0が採用されて、真っ先に「防御」や「かばう」の行動をとってくれません。

そこで、複数回行動時の速度補正の算出方法を、最小値から変更するプラグインを作成しました。RPGツクールMVとRPGツクールMZの両方に対応しています。

このプラグインを導入すると、速度補正の算出方法を以下の6つから選択することができます。

  • 各行動の最小値(ツクールの標準と同じ)
  • 各行動の最大値
  • 各行動の平均値
  • 各行動の合計値
  • 最初の行動の速度補正値
  • 最後の行動の速度補正値

例えば3回行動で、それぞれの行動の速度補正が行動順に300、1000、-100だった時、算出結果は以下のようになります。

  • 最小値:-100
  • 最大値:1000
  • 平均値:400
  • 合計値:1200
  • 最初の行動の値:300
  • 最後の行動の値:-100

考え得る限りの算出方法は用意しましたが、どれが良いのかは議論の余地があります。

特に、速度補正がプラスのものとマイナスのものとを同時に行った場合、どうなるのが自然なのかによるのかなと思います。

プラスの方の速度補正は「防御」や「かばう」などそのターンの最初に発動しないと意味をなさない行動に使われるのに対して、マイナスの速度補正は単に詠唱時間が長いといったペナルティー要素として採用されるケースが多く、それを考えるとプラスの速度補正が重視された方が良さそうな気はします。

一方でマイナスの補正値が全く加味されないのも意味がないので、私は平均値を用いています。

他の方法を使いたいという要望があれば、可能な限り採用したいと思いますので、ぜひお寄せください。

質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にお願いします。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。

[ テクニック ] 指定した番号のスイッチや変数を検索

2021-07-24 02:36:41

RPGツクールのゲームデータ内から、指定した番号のスイッチや変数が使われている箇所を抽出して、一覧化してくれるエクセルツールを作りました。

※ Version 1.0.4 (2022-12-29)
ステータスバーに途中経過を表示する機能を追加しました。

※ Version 1.0.3 (2022-05-07)
削除したマップがあるとエラーになる不具合を解消しました。

スイッチや変数の指定をミスったり、途中で番号を変更したくなったりといったことがよくあります。現状のRPGツクールのインターフェースでは、どこで当該のスイッチや変数が使われているかを漏れなく探し出すのは困難です。

そこで、簡単に指定した番号のスイッチや変数が使われている箇所をリストアップしてくれるツールを用意しました。これを使えば、スイッチや変数に指定ミスがないかどうかの確認や、修正すべき箇所の抽出が簡単にできます。

RPGツクールMV/MZに対応しています。実行にはMicrosoft Excelが必要です。

まずは上記のファイルをダウンロードしてください。zipファイルなので解凍し、中にある「RMDebugger.xlsm」を起動します。

起動時にマクロに関するセキュリティ警告が出ますので、「コンテンツの有効化」でマクロを有効にしてください。

使い方は簡単です。

検索したいのがスイッチか変数かを「種別」欄で選択し、検索したいスイッチまたは変数の番号を「番号」欄に入力します。

そして「検索実行」ボタンをクリックすると、ファイル選択ダイアログが出るので、対象となるゲームのプロジェクトフォルダーにある「game.rpgproject」(MVの場合)または「game.rmmzproject」(MZの場合)のファイルを開きます。

しばらく待っていると、対象のスイッチまたは変数が使用されている箇所がシートに出力されます。全てのイベントコマンドを検索するので、大規模なプロジェクトだとそれなりに時間がかかります。

検索対象は、通常イベント、コモンイベント、バトルイベントのイベントコマンドでスイッチや変数を使用する箇所をはじめ、イベントの出現条件や敵キャラの行動パターンの条件、移動ルートの設定でのスイッチをON/OFF、文章や説明文中で「\V[1]」のように制御文字で指定されている箇所、スキルやアイテムのダメージ計算式で「v[1]」のように指定されている箇所など、ほとんど全ての項目が検索対象となります。詳しくは「Help」のシートに記載してあるので、そちらを参照してください。

ただし、「\V[\V[2]]」のような記述で、2番の変数の値が1で、結果として1番の変数を参照しているようなケースは、追い切れないので対応していません。同様の理由で、スクリプトやプラグインコマンド、プラグインパラメータでの指定、メモ欄での記述などにも対応していません。プラグイン等で独自の記法によりスイッチや変数を表現している場合も非対応です。要望があって、それなりに汎用性があれば、対応するかもしれません。

あくまで使用されている箇所を列挙するだけで、番号の修正や代入値の変更までは自動的にはやってくれません。実際の修正は、リストアップされた一覧を見ながら自力で行う必要があります。

「Check」欄は、確認用等として自由にお使いください。修正・確認が済んだら「○」を付ける、といった活用を想定しています。

「目安行数」欄には、イベントの「実行内容」で出現する行数を示していますが、「移動ルートの設定」や「スクリプト」などのイベントコマンドがあると行数がズレるので、あくまで目安の行数として考えてください。

質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にどうぞ。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。

このツールを作ろうと思ったきっかけは、変数の修正を漏れなく行うためです。

ストーリーの進行度を表す変数を用意していたのですが、途中にいくつか進行度を追加する必要が出てきて、進行度の値を代入している部分や進行度で条件分岐している部分ほぼ全てで、進行度の値を繰り下げなければならなくなったためです。

普通にやったのでは絶対に修正漏れが生じますが、このツールを使えば漏れなく修正することが可能です。

このツールを活用して、デバッグ作業が少しでも楽になればいいなと思います。

[ テクニック ] [ プラグイン/スクリプト ] 名前欄に応じて顔グラを自動表示

2021-07-21 01:02:42

RPGツクールMZで登場した「文章の表示」の名前欄に、\N[1]のように制御文字でアクター名を入れると、そのアクターの顔グラが自動的に表示されるというプラグインです。

以前、公式フォーラムで要望を受けて作成したものですが、いろいろ応用力が高そうだったので改めて紹介します。

※ 2022-09-04追記:
「イベントの簡単作成」で作成した宝箱や宿屋でエラーが起こる不具合を修正しました。お手数ですが、Version 1.1.3にアップデートをお願いします。

このプラグインを導入すると、「文章の表示」で名前欄を\N[x]と設定した際に、x番のアクターの顔グラフィックが自動的に設定されるようになります。

xのところは変数を用いて、\N[\V[y]]のように記述することも可能です。この場合、y番の変数に格納されている番号のアクターとなります。

既に顔グラが設定されていたり、名前欄の形式が合わない場合は無視されます。

注意点としては、文章のプレビューでは顔グラが表示されない点と、テキストがメッセージウィンドウからはみ出さないようにする点です。

文章の入力欄にはメッセージウィンドウの横幅を示す目安のラインが引いてあります。このラインは顔グラなしの場合の横幅になっていますが、実際には顔グラありの場合の横幅にテキストを収めないといけません。このプラグインを使う際は、なるべく横幅ギリギリのメッセージは避けましょう。

単純にキャラクター名やキャラの顔グラの指定を横着したい場合にも使えますが、応用範囲はけっこう広そうです。

条件によってキャラクターの名前や顔グラを入れ替えたい場合は、指定用のアクターを用意しておいて、そのアクターの名前やグラフィックを変更してやれば、文章の表示で自動的に反映されます。

メッセージ自体は共通のものにしたいが、対象のキャラによって名前や顔グラを変更したい場合は、対象となるキャラを示す変数を1つ用意して、その変数にアクター番号を代入します。あとはコモンイベントで、名前欄を\N[\V[x]]としたメッセージを表示してやれば、求める動作となります。

他にも応用できるシチュエーションはありそうです。顔グラを自動的に設定したいケースでは割と使えると思いますので、ぜひ利用をご検討ください。

なお、「文章の表示」の名前欄を使用する仕組みのため、RPGツクールMVでは利用できません。まあ、MVでは顔グラを変数等で設定できるプラグインが既にあったかと思いますが。

質問やアドバイスなどはコメント欄まで、お気軽にお願いします。素材利用条件などについては、このサイトについての「提供素材について」の項目などをご覧ください。