昨日の宣言通り、自分が制作の上で意識していることや、応用できそうな技術について、少しずつ紹介していければと思います。
前作『小さな大冒険』の時は「マップがきれいだった」という反響を多くいただきました。自分でもマップ作りは楽しいし、それなりに自信もあります。
そこでまずはマップ作りのノウハウについて、何回かに分けて書いていこうと思います。RPGツクールでのマップ制作講座は他にもたくさんありますが、それらとはちょっと視点を変えたものにできるといいなと思っています。
さて、他のツクール製ゲームのマップと比べた時に、自分のゲームのマップの一番の特徴は、プレイヤーキャラクターが常に画面中央に表示されているという点ではないかと思います。
多くのゲームでは左のように、マップの端に来ると画面のスクロールが固定され、代わりにプレイヤーキャラクターが動くようになります。一方で私のゲームでは基本的に、端に来てもプレイヤーキャラクターが画面中央から動かないようにしています。
▲ マップの端に至るとその分プレイヤーキャラクターの位置がずれる
▲ マップの端に至ってもプレイヤーキャラクターの位置は常に画面中央
右はどのようにしているかというと、別に特別なことは何もなくて、単に通行可能な範囲に対して、上下に6マス、左右に8マス分、余白を設けているだけです。
初期の頃のドラクエをはじめ、当時のRPGはだいたいそんな感じだったので、これが普通だと思っていましたが、最近ではドラクエですら左のようになっているんですよね。
左の形式だと何が嫌かって、マップの端に至ると急にスクロールが固定されて戸惑う点です。プレイヤーキャラクターが画面中央から急に移動するので、視点を移動させないといけません。
また、場所移動の際にプレイヤーキャラクターを見失う恐れがあります。
左上の扉に入ったら、部屋の右下から開始、というようなケースはマップの位置関係上あり得ますが、次のマップがどこから始まるのか、初見のプレイヤーは分かりません。前マップの終了位置と次マップの開始位置が画面内で離れていると、プレイヤーキャラクターがどこに行ったのか、見失ってしまうかもしれません。
▲ マップの左上の入口に入ると、次のマップは右下から始まる。しかもプレイヤーキャラクターが壁の色と似ているため、分かりづらい。
その点、プレイヤーキャラクターが常に画面中央に固定であれば、どのようなマップの位置関係であっても、必ず画面中央にいるので見失うことはありません。
最後に、マップの端が見えると、興が削がれる点です。
町や室内であればまだしも、ダンジョンなどでマップの端が見えると、もうこの先には何もない、というのが明らかになってしまいます。以前プレイしたゲームで、フィールドマップなのにマップ端に到達した時は、冒険している感覚が一気に失われてしまいました。
謎解きの一種に、一見行き止まり or もう何もないように見えて、実は先に道が続いている、というものがあります。有名な例で言うと、ドラクエ3のランシールの神殿とかかな。自分のゲームでもよく採用しています。こういうのも、端が分かるタイプだと採用が難しいですよね。
逆に、プレイヤーキャラクターを常に画面中央に表示する場合のデメリットもあります。
一つは、マップ内で移動できる範囲を制限する必要がある点。
柵や壁などで囲めるのであれば難しくありませんが、草原や砂漠のようなマップでは、障害物を置いて移動可能な範囲を制限するのが難しいです。
よくあるのは、入口とか出口を設けるのではなくて、一定の範囲から外へ出るとフィールドマップに場所移動する方式ですが、スクリプトやプラグインなしで実装しようとすると、周囲全体に場所移動のイベントを敷き詰めるか、並列処理でプレイヤーの現在地を監視して一定の座標の時に場所移動させるか、いずれにしてもちょっと面倒くさいです。
もう一つのデメリットは、余白の部分もマップを作らないといけない点。
ダンジョンや屋内であれば余白部分は暗闇でもいいのですが、町マップなどの場合は余白部分もそれなりに作り込まないといけません。
昔のドラクエとかだと周囲は一面草原で済ませられていたりしましたが、それは解像度も粗くマップチップも限られていたから許されていた話で、今それをやったら手抜き感が半端ないです。なので、ゲーム上では全く意味のない部分にもかかわらず、ちゃんと作り込まないといけないという、やや不毛な作業が。
ただ、こういうところをちゃんと作り込んでいるか否かで、マップの見栄えは確実に変わってきます。範囲外だからといって、手を抜かずに作り込みましょう。たまに、気合いを入れて作った部分が、障害物の関係でプレイ中には見えない部分だったりすることもありますが……。
さて、マップ制作講座の第1回として、「プレイヤーキャラクターを常に画面中央に表示」することについて説明しました。
果たしてこれはマップ制作なのかというとやや疑問ですが、マップ作りにあたっての基本方針である上に、あまり意識されてないんじゃないか、ということで紹介してみました。
いかがだったでしょうか?(キュレーションサイト風)
次回からは、実際のマップ制作の上でのコツ等を紹介していきたいと思います。